令和元年度 林野庁補助事業 木材産業・木造建築活性化対策事業

DLTで用いる
木ダボ接合部のせん断試験2(結果速報)

事業名:DLT(Dowel Laminated Timber)普及に向けた性能評価と普及活動について
事業主体:株式会社 長谷萬

  • 試験目的

    床などの用途を想定した、木ダボ接合部の木繊維直角方向の強度や、木ビスの接合耐力、長期使用を前提とした劣化促進処理後のせん断耐力を確認しました。

  • 試験内容

    試験1 【木ダボ接合部のせん断試験(繊維直角方向のせん断試験)】
    試験2 【ビス接合部のせん断試験】
    試験3 【木ダボ接合部の耐久性試験】

  • 試験場所

    群馬県林業試験場

  • 試験実施日

    2019年 9月10日、9月13日、10月15日、11月7日

試験

試験1 木ダボ接合部のせん断試験(繊維直角方向のせん断試験)

せん断試験前

せん断試験後

  • 試験目的

    DLTを床等の水平用途で使用する場合に必要となる、木ダボ接合部の繊維直角方向のせん断耐力を確認しました。

  • 試験体仕様

    単純一面せん断試験(ケース1)、複数枚一面せん断試験(ケース2)を行いました。
    実施済みの木ダボのせん断試験結果から、木ダボの加工孔径は直径19.5mmとしました。

図-1

単純一面せん断 ケース1(試験体No. J-7)

図-2

複数枚一面せん断 ケース2(試験体No. J-8)

表-1

木ダボせん断試験 試験体の仕様

構成部材:群馬県産スギ 乾燥材(KD材)含水率20.0%以下
JAS無等級 比重0.37以下の材料を選別

木ダボ:欧州ブナ 乾燥材 たて溝つき 比重0.65以上 含水率13%以下

試験2 ビス接合部のせん断試験

接合部のせん断試験

接合部のせん断試験

  • 試験目的

    DLTの接合で使用するビスの斜め打ちの接合部耐力を確認しました。

  • 試験体仕様

    DLT積層材同士、およびDLTと柱との接合部、DLT積層材と土台との接合部、DLT積層材と桁との接合部を想定したせん断試験を行いました。
    ビス:パネリードPX6-140 斜め打ち角度45°
    実施済みの試験結果より、木ダボの加工孔径は直径19.5mmとします。

図-3

DLT接合部1(試験体No. J-9)

図-4

DLT接合2(試験体No. J-10)

表-2

ビス接合部せん断試験 試験体の仕様

構成部材:群馬県産スギ 乾燥材(KD材)含水率20.0%以下
JAS無等級 比重0.37以下の材料を選別

木ダボ:欧州ブナ 直径20mm たて溝つき 比重0.65以上 含水率13%以下

試験3 木ダボ接合部の耐久性試験

接合部せん断試験(事故的水かかかり処理後)

  • 試験目的

    木ダボ接合の長期耐久性能を確認するため、水かかりによる劣化の促進処理(乾湿繰り返し、事故的水かかり)を施した条件下でのせん断試験を行い、水かかりを考慮した木ダボ接合のせん断耐力を確認しました。

  • 試験体仕様

    木ダボの一面せん断試験で使用した試験体と同じ仕様で試験を行いました。木ダボの加工孔径は直径19.5mmとしました。
    試験は①気乾状態、②乾湿繰り返し、③事故的水かかりの3つのケースで実施しました。

図-5

一面せん断1(試験体No. J-11)

図-6

一面せん断2(試験体No. J-12)

試験体の処理方法

試験体はそれぞれ下記①、②、③の3条件の環境処理を行った後に、せん断試験を行いました。

  • 条件① 気乾(恒量)

    温度20±3℃、湿度65±3%の環境に静置させました。

  • 条件② 事故的な水掛り

    ①の処理後に20℃の水中に72時間浸せきし、浸せき前の重量まで乾燥室で乾燥させました。

  • 条件③ 乾湿繰返し

    ①の処理後に水中4時間浸漬 → 温度60±3℃乾燥20時間 → 水中 4時間浸漬 → 温度60±3℃乾燥20時間 →→ 通風のよい室内で2日間静置させました。

※水中浸漬は温度管理された室内で浸漬させました。

表-3

木ダボ接合のせん断試験、耐久性試験 試験体の仕様

構成部材:群馬県産スギ 乾燥材 含水率20.0%以下
JAS無等級

木ダボ:欧州ブナ 乾燥材 たて溝つき 比重0.65以上 含水率13%以下

試験結果

試験結果数値(速報)

表-4

木ダボ接合部のせん断試験(繊維直角方向のせん断耐力)

※J8-6は変位計が脱落して終了したために最大荷重に達しておりません。

表-5

接合部のせん断試験

※J9-5は変位計が脱落して終了したために最大荷重に達しておりません。

表-6

木ダボ接合のせん断試験、耐久性試験

試験結果のまとめ

  • 試験1【木ダボ接合部のせん断試験(繊維直角方向のせん断耐力)】

    繊維方向、繊維直角方向のせん断試験結果より求めた、直径20mmの木ダボのせん断耐力は下表の通りになります。(ばらつき係数を考慮しています。)

    繊維直角方向の木ダボのせん断耐力は繊維方向のせん断耐力に対し概ね1/2程度となっています。これはスギの繊維方向と繊維直角方向の基準支圧強度の差によるものとみられます。

    表-7

    木ダボ接合のせん断試験

  • 試験2【ビス接合部のせん断試験】

    使用したパネリードのメーカー実施の試験結果と、斜め打ちしたビス(パネリード PX6-140)との耐力の比較は下表のとおりになります。

    斜め打ちは垂直打ちに対して×0.75倍程度、×0.6倍程度となることが確認されました。なお、ビス打ちについてはメーカーにヒアリングして直径3mmの下穴加工を行い、ビスの打ち込み長さと精度の確保をしています。

    表-8

    パネリード耐力の比較

  • 試験3【木ダボ接合部の耐久性試験】

    30×105の薄い材の試験体では事故的水かかり(水中に72時間浸漬し、その後に浸漬前の重量まで乾燥)による耐力低下は認められませんでした。一方、乾湿繰り返し処理後の接合耐力は気乾状態の70%ほどに耐力低下が確認されました。これは、乾湿繰り返し処理の湿潤後の乾燥により、部材の厚みが変動し、部材同士でわずかな隙間が増えたためと想定されます。

    105×105の材の場合では、事故的水かかりで若干の耐力低下があったものの、乾湿繰り返し処理では接合部の耐力低下がほとんど認められませんでした。

    この結果から、乾湿繰り返しを受ける積層材であっても、幅方向の寸法変化が生じにくい部材断面や幅方向の寸法変化を規制するような使用法であれば、木ダボ接合において耐力低下はほとんどないと考えられます。

    表-9

    木ダボ接合の環境処理による耐力の比較