新素材「BSボード(現・DLT)」2020年度グッドデザイン賞を受賞

20.10.01

株式会社長谷川萬治商店/株式会社長谷萬は、このたび、両社で開発・販売する新木質素材「BSボード(現・DLT)」が、2020年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞いたしました。


■『DLT』とは?
「木材を積層し、木ダボだけで接合する木質素材」であり、接着剤や釘を使わない、100%木材で出来ている積層材で、DLT(Dowel Laminated Timber)と分類される木質素材です。床、壁、屋根などの構造材としての利用のほか、木の風合いを活かして木の表面をそのまま現わす意匠材としての活用が可能となっています。建物の構造材のほか、内装材、家具などインテリア用途まで、多彩な用途に活用が可能な木質素材です。丸太の皮が残る丸身材などのB級材も、ラフ感が魅力の素材と捉え直すことで新たな価値を与えることが可能となっています。

■商品化の背景
1)現在日本では人工林が収穫期を迎え、国産材活用がここ 数年増えつつあります。さらなる森林資源の活用に向
けて、構造・意匠の両方に使用でき、多様なニーズに答えられる新しい木質素材の提供を目指しました。
2)現在、日本国内の製材事業者は大規模化が進みつつありますが、今後、多様な木材活用を進めるうえで、各
地域の中小製材事業者の特性を活かした木材製品が求められます。DLT(Dowel Laminated Timber)は、木材
の穴開けや木ダボ挿入といった簡単な工程で製造できるため、接着剤で積層する構造用面材に比べると、簡易な設備で製造が可能な木質素材です。そうした点が評価され、ヨーロッパ山間部で生産網が築かれ、中小製材所や工務店で活用がなされています。
こうした背景から、当社では、網野禎昭氏、宮田雄二郎氏とともに、国産材を用いたDLTの商品化を進めてきました。

■『DLT』の特長
1)シンプルな製造工程。
板を並べて、穴をあけ、木ダボを差し込むという、とてもシンプルな工程で作れる木質素材です。接着剤を使用しないため製造時や廃棄時の環境負荷が小さい点も特長となります。この製造の容易さと、木材の加工性の高さを活かし、製品を構成する木材の断面形状を予め切削加工し、後から木ダボで接合することで、多彩な表面デザインを可能としており、中小の製材事業者に適した、高付加価値型の多品種少量生産に適した木質素材になっています。

2)多彩な表面デザイン。
製品木材の断面形状や配列によって、多彩な製品の製造が可能となります。「丸身」など、B級材もこれまでの木材製品とは逆の発想で、木材のラフ感が魅力の意匠材として活用するようにいたしました。「丸身」とは、丸太の丸い皮つき部分が一部に残る製材で、昨今、建築用材で好まれないグレードの木材です。こうした部分はバイオマス向けのチップ材などに活用することが多いですが、意匠材などより高単価の材料として利用が可能となり、製材の歩留り向上や高付加価値化につながります。また、顧客やデザイナーの要望に合わせた、あえて鋸目が残る仕上がり感や、不揃いな色あいに板材を配列するなど、構造材でありながら、デザイナーの意匠面の要望に応えやすい素材です。
当社では、この受賞を契機に、『DLT』の受注拡大に向けて、DLT(Dowel Laminated Timber)の認知拡大を進め、中小製材事業者と連携しながら、多様な木材活用に貢献してまいります。

『DLT』天井側

『DLT』床側



■グッドデザイン賞「BSボード(現・DLT)」ページ:https://www.g-mark.org/award/describe/50545

□グッドデザイン賞とは
公益財団法人日本デザイン振興会が主催する、日本を代表するデザイン評価の活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。